敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~


正論のため言い返せない。


「それに、今後について話し合ういい機会でもあるから」
「今後?」


目を大きくパチッとまたたかせ、首を傾げる。もうこれっきりではないのか。


「このまましばらく恋人のふりを続けるのが得策だと俺は思う」
「どうしてですか!?」


次から次へととんでもない発言をする人だ。


「俺たちが〝別れた〟途端、あのふたりならまたべつの相手を探してくるとは思わない?」


たしかにその可能性は高い。サプライズでお見合いを企てるほど孫の結婚を望むくらいだから、すぐにほかの人を見繕うのは想像に容易い。
とすると、彼の提案は理にかなっている。


「……そうですね」


もしもべつのお見合いをセッティングされた場合、今回のように相手と協力して結婚を回避するのは難しいだろう。今日はたまたまうまくいっただけ。次はきっとない。