いつも通りの時間に目覚めた七緒は、乱れたシーツの狭間で眠る聖の腕をすり抜け寝室をあとにした。
身支度を整えてエプロンを着用。仕事へ出かける聖のために愛情たっぷりの朝食を作ろうと意気込んだ。
今朝のメニューは淡白なタラに擦り下ろしたレンコンに明太子をたっぷり和えたものをトッピングして焼いたものと、セロリの和風漬け。出し巻き玉子は少し甘めに仕上げ、お味噌汁には揚げナスを使った。
昨夜セットし忘れた炊飯ジャーは起きてすぐに炊きはじめたため、ちょうど今出来上がったところ。
(そろそろ聖さんを起こさないとね)
エプロンをいったん外し、階段を上がって寝室へ向かう。
聖はまだ夢の中。幸せそうな顔は、いつかソファで寝こけていたときのようにあどけない。
息を殺してそっと顔を近づけ、頬に唇を押し当てた瞬間――。
「きゃあっ」
七緒はベッドに引きずり込まれた。
ニヤリと笑った聖は勝ち誇ったようだ。



