招待状を見つけなければ、そのまま忘れ去っていたのに。今朝、あの引き出しを開けた自分を呪いたい気分だ。
「俺も行く」
「はい? ……聖さんも一緒に?」
聖の突飛な発言には慣れてきたが、それでも耳を疑った。
「行っても行かなくても相手の思う壺。でもひとりで行ったら惨めなだけだ。だから俺が一緒に行く」
「でも大事なお休みなのに」
明日は日曜日。夜勤もある勤務体系だからこそ、貴重な休みを七緒の用事で潰させたくない。それも元彼の婚約が披露されるパーティーに付き合わせるなんて、なにひとつ楽しくない予定だ。
「七緒のプライドを守るほうが大事だろ」
「……私の、プライド?」
思いがけない言葉を掛けられ、二の句が継げない。いつもからかってばかりの聖の真剣な眼差しが、七緒の鼓動を高鳴らせていく。
かわいがっていた生徒に彼氏を寝取られた、情けない女のプライドを守ろうだなんて。妙な意地の張り合いなのに。



