敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~


聖の目は声から感じたままの優しいものだった。


「明日、元彼の婚約を祝うパーティーがあるんです」


聖が眉根を寄せながら体を起こす。


「あ、彼を忘れられないとかそういうんじゃなくて」


眉間の皺ひとつで、最低な男がまだ好きなのかと問いただされたようで慌てて訂正。両手を胸の前で振り、首も一緒に左右に揺らした。


「そのパーティーの招待状をもらっていて」


聖から盛大なため息が漏れる。


「つくづく性根が腐ってる男だな」
「彼からもらったわけではなくて、彼女からで……」


唯斗を擁護するわけではないが、正しい情報を伝えたい。少なくとも唯斗は恵麻を引き留めようとしていた。


「そんな女になびくんだから、どっちにしろ同じだ。で、それはいつだって?」
「明日です」