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聖と一緒に暮らしはじめて二十日が何事もなく過ぎていった。
生活のペースもなんとなく掴み、豪華なマンションで快適なワークライフを送っている。

聖の健康維持が七緒の使命。栄養バランスに気をつけた食事作りを心掛けている。もちろん料理だけでなく、洗濯や掃除も七緒の大事な仕事だ。
そこまで完璧にやらなくてもいいと聖は言うが、それでお給料をもらうのだから手を抜くわけにはいかない。
つだけ差し迫った問題があった。

元彼の唯斗と恵麻の婚約パーティーである。グランビューレに制服を返しに行ったときにプライドが邪魔して招待状を受け取り、今は猛烈に後悔している。

招待状の存在は、ベッドサイドチェストの引き出しにしまい込んだまま今朝まですっかり忘れていた。ところが講師時代に料理のコツをメモしたノートを探したときに運悪く見つけ、それからずっと気が晴れずにいる。

(どうして意地なんて張ったのかな。突き返せばよかった……)

いっそ忘れたまま約束をすっぽかしたかった。

夜の十一時半、夕食もお風呂も終えて自室にいた七緒は眠れる気がしなくて、なにか飲もうとキッチンに向かった。