「それじゃお言葉に甘えてそうさせてもらうよ。なにかあったら呼んでくれ。俺は上にいるから」
人差し指を上に向けた。彼の部屋は螺旋階段を上がった先にあるみたいだ。
彼がキッチンから出ていくのを見送り、七緒は食材を冷蔵庫やパントリーに入れ、調理器具や食器は洗ってから収納した。
部屋から取ってきたエプロンを着け、早速調理開始だ。
真新しいまな板で野菜類を切り、聖がリクエストした魚料理に使うサワラは湯引きして下処理を完了。味噌汁の具材とサワラの煮つけを煮込んでいる隙にきんぴらごぼうを煎り炒めしていく。
クッキングヒーターが四つもあるのはとても便利だ。
(聖さんには宝の持ち腐れだけどね)
そう考えたら笑みが零れる。ついでに頭にされたキスを思い出して、胸の奥のほうが甘く疼く。いくら恋人のふりをするからといって、そんなスキンシップがあるとは思いもしなかった。
そうして完成した料理をダイニングテーブルに並べ、螺旋階段の下から聖に呼び掛ける。
「聖さーん、ご飯できましたよー」
すぐにドアが開く音がし、聖が階段を下りてきた。



