なんだかおかしな理論だが、聖が楽しそうならいいかと思わせられる。いちいち〝偽りですけど〟とツッコミを入れるのも面倒くさくて、「では、よろしくお願いします」と従った。
再び彼の車に乗り込み、マンションからそう遠くないスーパーへやって来た。複合施設のようで専門店も敷地内にある。車で五分程度の距離なら、普段の買い物は七緒ひとりでも来られそうだ。
大きなカートを聖が押し、広い店内に入る。日曜日の午後、お客で結構な混み具合だ。
「今夜の夕食、なにかリクエストはありますか?」
せっかくだから聖の食べたいものを作りたい。
「七緒は和食が得意だったよな? なら魚料理がいいね。普段はつい肉料理ばかりになるから」
外食やコンビニだとそうなるだろう。
「お魚ですね。わかりました」
ひとまず今晩は魚料理として、車で来ているから数日間分の食材も買っていこう。
果物売場からはじまる店内をゆっくりと進んでいく。



