敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~


彼が七緒を連れていったのはキッチンだった。まさに七緒が仕事をする場所である。


「わぁ、すごく素敵……!」


ほかの部屋同様パールホワイトを基調としたIランド型のキッチンは、パントリーやシンクの下の引き出し、ペンダントライトなどには差し色的にブラックを使い、エレガントさの中にもスタイリッシュな印象がある。
ダイニングからリビングまで見渡せ、とても爽快だ。


「ピカピカですね」


生活感がなく、まるでモデルルームのよう。


「ちょっとした洗い物をする以外使ってないから」
「お料理はまったく?」
「まったく」


聖が大きく頷く。


「たまに実家の家政婦が料理をタッパーに詰めて持ってきてくれるくらいで、あとは外食かコンビニ。冷蔵庫に食材と呼べるものはなにもない」
「ちょっと失礼しますね」