「こんなに揃えてくださってありがとうございました」
「いや、喜んでもらえてよかった。俺はカートを返してくるから、荷物の整理でもしていてくれ」
「すみません、よろしくお願いします」
聖が運び込んでくれたダンボールとキャリーバッグを開け、洋服や小物類を出していく。自宅にあった荷物全部というわけにはいかず、ひとまず夏物と秋物だけを詰め込んできた。
部屋にはクローゼットもあり、用意されていたハンガーに提げ、小物類は引き出しに詰めていく。
(聖さんって、なんだかんだいって優しいよね)
最初は傍若無人なところがあって面食らったし、突然すぎる言動が多くてついていけなかったが。育ちのよさを感じさせる振る舞いやさり気ない気遣いは、さすが洗練された男だと思わせられる。
忙しい合間を縫って同居のための準備を整えるのも大変だっただろう。
(……たまに意地悪なところがあれだけど)
これまでの会話を思い返してクスッと笑う。そんなやり取りを嫌だと感じていない自分に気づいてドキッとした。
急いで首を横に振っていると、不意に声を掛けられた。



