同居の話になったときに、たしか空いている部屋があるとは言っていたが。
「こっちにおいで」
スリッパの音を立てて中に進む聖を追いかけていくと、そこはリビングだった。エントランスホール同様にパールホワイトのフロアと同系色の壁が、大きな窓から射し込む光で眩い。
窓の一面はルーフバルコニーへ、もう一面はパティオへと開き、その先の空や緑へのびのびと抜けていく。ソファセットも一式白で統一され、とにかく明るい。
「な? ひどい部屋じゃないだろう?」
「……はい。失礼なことを言ってごめんなさい」
パッと見では掃除も行き届いている。これでハウスクリーニングを外注していないのだとしたら、掃除は相当大変だろう。それも医師として忙しい彼には。
「すごく綺麗でびっくりしました」
「じつは実家でお願いしてる家政婦が、たまに来てくれてる。祖父が送り込んできた家政婦とはべつにね」
「なんだ、そうだったんですね。他人は誰も入れたがらないと聞いたので、聖さんがお掃除してるのかと思いました」



