敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~


「安心しました」


そんな部屋だったら家に引き返そうかと本気で考えたため、ほっと胸を撫で下ろした。


「そんな場所で一緒に住もうなんて言えないだろ、普通は」
「私の普通と聖さんの普通は違うかもしれないですし」
「勘弁してくれ。七緒の中で俺のイメージはどうなってんだ」


首を軽く横に振りながら、大きなため息で不満を表す。


「理論派よりは行動派ですね。思い立ったら即行動に移す感じがします」


クルーズ船での一件はその象徴だろう。お見合いから逃げるためにとっさに七緒を恋人に仕立て上げるあたりは、頭で考えるより先に体が動くタイプ。今回の同居だってそうだ。


「……なんか野生的だな」
「本能で動く感じがするので、まさにそうですね」
「これでも一応理系なんだけど」