「随分な言われようだな、槇野」 「今さら何を言われても気にしません」 槇野は主人の書斎で、今月分の経費のことなどを報告しながら、 使用人の間で囁かれている噂を一蹴する。 「お前は有能過ぎて、休みを与えたくても中々手放せん」 「それこそ今さらというものですよ」 「そうか。槇野、晴人の事も頼むぞ」 「旦那様が完全に引退される頃には、私も限界を迎えていますよ」