何せ愛する妻が両親に人質に取られていると言ってもいいのですから。 なにがなんでも仕事を終わらせて来るでしょう。 「デザートの用意は、若奥様の分も」 「若奥様は、甘いのがお好きなんですね。 旦那様と坊ちゃんは、あまり召し上がりませんが」 パティシエが少し残念そうに話す。 普段は奥様しか召し上がらなので、パティシエの彼女の出番は少ないのだ。 「まぁまぁ。いつも活躍できない分、今日発揮すればいいさ」