すばる文学賞に応募したことがある。小説を百枚書いた。まず紙切れに下書きした。字数を調べ、原稿用紙に書き直した。SF小説だ。タイトルは「soldier」。
 これはダイモンの物語であった。ダイモンの物語「ファイナルテスタメント」という物語の構想があったのだ。ダイモンというのは、プラトンのソクラテスを書いた作品に出てくる、神と人の中間的存在だ。僕は自分をダイモンだ、と思った。そうしてダイモンの物語を練ったのだ。
 1億年後の未来。大陸は一つになっていたと思う。そこは人類より進化したダイモンが支配していた。人類はダイモンによって奴隷化されていた。作業用ホモ、ホモ・ファーベル。軍用ホモ、ホモ・マルス。ホモ・オリオン、ホモ・ヘラクレス。そしてホモ・ロブストス。
 突然変異で人類より進化した存在ダイモン・タケルが誕生したのだ。タケルの遺伝子には光の点があった。それがシルシであった。
 人間の創造主がプロメテウスだった。プロメテウスはヘイパイストスに依頼して人間を製造する機械を作らせたんだと思う。人間製造機だ。それは火星にあった。かつて火星が主星だったのだ。そこで虚無に帰そうとするニヒルエンジェルと、生に執着する天使ビバイドエンジェルの戦争があった。そうして火星は滅び、地球が創造された。
 主人公はマリア・マグダラ。科学技術省長官だった。聖書に出てくるマグダラのマリアから。姉か妹がマルタ・マグダラだった。それも聖書に出てくるのだ。マリア・マグダラはヨゲンシャを捜索していたと思う。
 そうして少年二人が発見されたのだ。
 かつて千年戦争があった。それをオリンポス戦争と言った。そのオリンポス戦争を書いたのだ。
 ダッシュを引いて、オリンポス戦争戦下というのが書き出しだったと思う。主人公はタケル。ヨゲンシャだった。ヨゲンシャというのは、唯一の神ロードの力を使えるもののことだ。
 タケルは無法地帯にいた。タケルは少年たちの組織のようなものに入っていた。そこで泥棒のようなことをしているといった設定だったと思う。組織の空間のようなものを描いたと思う。扉前にはゲートキーパーの少年がいた。
 これも群像新人文学賞と同様、中間発表とかあったと思う。そこに僕の名前はなかった。僕は審査員に怒鳴り込んでやろうかと思ったような気がする。