外壁は汚れ、窓ガラスは至る所が割れており、昼間見てもどこか不気味なこの建物は、某県にある幽霊が出ると噂される廃病院である。医療ミスが原因で廃病院となったとネットには書かれていた。

光彦、真一、理子、学の四人は、同じ大学に通う生徒である。そんな四人が入っているサークルはオカルトサークルであり、サークルでの活動は自分や誰かが体験した心霊体験を語ったり、廃墟について調べたり、実際にその廃墟で肝試しをしたりすることである。

オカルトが大好きな四人は怖い話をしたり、肝試しに参加したりするものの、実際にこの目で幽霊を見たことがない。霊感と呼ばれるものがないのかもしれないが、四人は心霊体験をしてみたいと思っている。

「今日こそ幽霊に会えると思ったんだけどな〜……」

光彦は乱暴に頭をかいた後、車をゆっくりと走らせて廃病院を後にする。幽霊が出るスポットを調べて夏休みを利用して一つずつ訪れているのだが、全く怪奇現象に遭遇しない。ただ不気味な廃墟を探検して終わりだ。