あたたかい布団から何とか抜け出して、白い息を吐きながら学校へと向かった朝。


 いつも寄り道するコンビニを通りすぎる時、入り口脇に細長いツリーが立っていることに気付いた。

 てっぺんに大きなリボンをつけたモミの木。

 反対側には、真っ赤なバケツをかぶった雪だるまのイルミネーションライト。

 よく見れば、店の中には小さなリースも飾られていた。


(そっか、そんな季節なんだ)


 しみじみと見上げた空は高く澄んでいる。

 街路樹のイチョウは葉を落として、乾いた黄色の葉が道路になだらかな山を作っている。

 ひんやりと頬をなでる風は、もうすぐ初雪をつれてくるのだろう。


 十二月。


 私の人生でもっとも鮮烈な変化を与えた一年が、終わりを迎えようとしていた。