でも結局、
どれだけ待っても、
どれだけ彼のことを思い続けても、
仁くんはプロポーズ丘公園に姿を現さなかった。
私は然くんの言葉を想い出す。
『そんなの信じてるんすか?どうせ今頃、違う女の子と付き合ってますよ。先輩は知らないだけで、俺は先輩を泣かしたりしませんよ』
もしかして、今頃本当に違う人と居たりして……
私の目から一粒の涙が流れ落ちる。
また逢えると思っていたのに、
まだ私のことを思い続けてくれていると思ってたのに、
仁くんの嘘つき。
私は仁くんが来ないことに落胆し、考えは悪い方へ働いていった。
悲しみで溢れる中、私はプロポーズ丘公園から離れて行く。
もういくら待っても仁くんは来ないんだから。
私は坂道を下り、近くにあるバス停まで歩き続けていると、反対側から歩いて来る細身の女性から声をかけられた。
「あれ?もしかして結空ちゃん?」
私はどこかで聞いたことがある声に反応し、顔を挙げる。
そこには見覚えのある懐かしい人物が私の目に映り込んだ……


