忘れられない恋

「あの……」



仁は重たい口を開いた。



「何?」



「その……家族と血が繋がってないことを聞きました。結空は『自分に居場所がない』って言ってます」



「だから何よ?今、その話は関係ないでしょ?」



「関係あります。どうか居場所を作ってあげて下さい!それが条件です」



仁は勇気を出して、結空のお継母さんに伝えた。



「何?作れば別れるってこと?」



結空のお継母さんは不貞腐れるような態度をとる。



「……はい」



「ふふ、いいわ。約束する」



「お願いします。僕、結空と……別れます」



仁は言いたくない言葉を言ってしまった。


こんな気持ちになるなら、

人を好きにならなかったら良かったのに。



仁はそう思ったに違いない。



心の底から悔しくて、

気がついたら泣いていた。




何も言い返せれない自分に。



臆病で結空を守れない自分に腹が立つ。



強く握りしめた拳。


役にも立たない、その拳を酷く憎んだ。



そして、

結空のお継母さんの指示で、

仁は結空の連絡先を消した。



「じゃあ、もう結空に関わらないで」


結空のお継母さんは気分が良くなったのか、

上機嫌で帰って行った。


結空の担任の先生が仁の肩を優しく触る。



「一ノ瀬、大丈夫か?ちゃんと明日学校に来るんだぞ」



先生達に見送られ、仁は生徒指導室を出た。