忘れられない恋

「別れたら許してあげるからさ」



結空のお継母さんは仁の耳元で囁く。



口調は優しく、少し不気味に思えた。



「結空を松江から出そうかな?そおだ、それにあんたの内定を取り消すよう学校に頼んでみよっか?あれだったら、親同士で話し合いでもしようかな?」



結空のお継母さんは不適な笑みを浮かべていた。



「そんな……」



仁は言葉を詰まらせる。



「さぁ……別れる?別れないの?どっちィッ!」



大きな声で仁に聞いた。


頭の中で色んなものがぶつかり合っていた。


結空のことだったり、家族のこと。


高校生の仁にとって、頭がカチ割れそうなぐらい、判断できない状況だった。



しばらく黙り込み、結空の顔が頭に思い浮かぶ。


結空が松江から出ていくのは、どうしても避けたい。


結空もそれを望んでいないはず。