「仁、明日の新歓行ってくれ!」


突如、男子バスケ部キャプテンは仁に告げた。


数秒理解に苦しみ、

苦しみながら出た言葉は、

敬語ではなくタメ語。



「は!何で俺が?!」


明日は新入部員勧誘会があり、

入学したばかりの私たち一年生に、

部活紹介をする日だった。



うちの男子バスケ部は、

県大会出場という目標を掲げている。


だけど、正直に言って一回戦突破できるか、

できないかの実力。



バスケ部の代表で新歓に、

行かせようとするキャプテンに、

仁は嫌な顔を見せる。



他にも部員がいる中、

何故、自分をチョイスしたのか、

意味が分からなかったのだ。


キャプテンは不適な笑みを浮かべながら、

仁に躙《にじ》り寄った。



「それはお前がイケメンだからに決まってんだろ!」


はい?なんだ、その理由は……と仁は目をキョトンとしている。



なるほど、じゃあ俺が新歓に行きます。


ってならないよね普通。


キャプテンは続けて仁に言った。



「イケメンが新歓に行けば、必ずマネージャーが入るはず」


なんだ、その単純な考えは……

呆れ果て、

仁の口から言葉が出ることはなかった。