「私ね……おかあさん達と血が繋がってないの」
私は窓の外に目を向ける。
「え!どう言うこと?」
仁くんは目を丸くする。
そして、理解するのに時間がかかった。
「赤ちゃんの頃に本当のお母さんは私を置いて出て行ったみたい。本当のお父さんはすぐに今のお継母さん《千里》と結婚したんだってさ。でも……長くは続かなった」
私は下を向き、大きく息を吸った。
「物心つく前だったから……血の繋がってないお継母さんだとは知らずに、泣きながらついて来たの。お継母さんのことが大好きだったから」
私は仁くんに家族のことを言えずにいたのだ。
「そうだったんだ……」
仁くんは理解するのに苦しみ、言葉を失う。
「うん。それでお継母さん《千里》は今のお継父さん《正利》と結婚して二人の子どもが生まれたの」
正利と千里はバツイチ同士だった。
二人は離婚後、すぐに打ち解ける。
正利は私のことを受け入れ、物凄く可愛がってくれた。
本当の娘のように……
「え!てことは……」
「そう。家族全員と血が繋がってないの私」
私は気持ちが沈んでいた。
「それ、本当なの?」
「うん。中学生の時、そのことを知ったの」
「そっか……」
「でね今、本当のお父さんは京都で新しい人と暮らしてるんだ」
私の目には涙が見えた。
「子供も二人いてさ。『いつでも戻ってこい』っていうけど……戻りにくくてさ」
「そんな……今まで結空の事知らなくてごめん。もっと早く知ってあげてたら」
「いいの。隠してたのは私だから」
窓に映る私を仁くんは見つめることしかできなかった。
「それで今、一緒に暮らしてるお継父さんは私の事を本当の娘のように接してくれてる。でも、お継母さんは違うの」
「え!何が違うの?」


