忘れられない恋

「その……結空と付き合っている彼氏が結空以外にも色んな人と付き合ってるって聞いてな……その、お父さんとしてもそれが本当なら許すことが出来ないから聞いてみたんだ」



「えｯ……はｯ！嘘でしょ？！ちょっと待って！誰がそんなこと言ってたの？」


私は戸惑い、頭の中がパニックになる。



「それは言えないわ。教えてくれた子との友人関係が壊れるでしょ」


おかあさんは冷たい目で私の方を見ている。



「なによそれ！仁くんがそんなことするわけないじゃん！」


私はその話を信じれることができなかった。

というより、仁くんという人間性を知ってるからこそ、余計に信憑性のない話しに疑いの目を向ける。


悲しみと同時に怒りが込み上げてくる私の目には涙が映っていた。



でも……



もし、それが本当だったらと思うと怖くて仕方ない。


傷つきたくないのが本音であって、逃げ出したいぐらい私の気持ちはどんよりと曇り空だった。





はぁ……聞きたくなかったなぁ。




「ないなら確認さしてちょうだい」


おかあさんは携帯電話を出すよう、

私に手を差し伸べる。



「待って！電話する気？！」


私は驚き、

持っていた携帯電話を取られないよう握り締める。



「あなたのことが心配なの！それがホントなら私達も許せないでしょ」


おかあさんはなかなか携帯電話をださない私に、しびれを切らす。



「出しなさい！」


おかあさんは私が持っていた携帯電話を無理矢理、取り上げたのだ。



「ちょ！いや。返してｪ！！！」


私がおかあさんから携帯電話をとり返そうと暴れるが、
おとうさんが私をしっかりと抑える。


すると、おかあさんは私の携帯電話を開き、

通話履歴から仁くんに電話をかけた。