忘れられない恋

私の立ち位置は三人姉妹の長女で、

千里達と五人で暮らしている。


下二人は五歳と三歳で私と歳がだいぶ離れていた。


そんな下の娘達は今、お絵描きに夢中だ。



「あなたはいつも結空の味方ね」


千里は顔色を変え、不機嫌になる。



「そんなことないさ。いつも平等に接してるじゃないか」



「いいの?結空の彼氏がクズな男でも?」



「え!クズ?結空の彼氏はクズなのか?」


正利は千里の言葉を疑う。


とても心配になったのだろう。


千里は正利から背を向け、

不適な笑みを浮かべた。



「結空の同級生から聞いたわ」



「何を?」



「彼氏が結空以外にも数人の女と付き合ってるってことを」



「それ、本当なのか?」




「間違いないわ。イケメンでチャラチャラしてる子だったから、他に女がたくさんいてもおかしくない感じだったわ!」




「それは心配だな……」


正利は娘思いであり、不安になっていた。



「だから、こんなに心配してるんじゃない。結空が遊ばれてるなんて許せないし、母親として娘を思う気持ちは当然!分かってくれた?」



「ああ。すまなかったよ」


千里は正利の耳元で何かを囁く。


正利は目を丸くして、千里を見つめていた。


千里がこれから何をしようとしているのか?



それを知ってしまった正利は親として、

娘にとって、

正解なのかを考えさせられていた。