忘れられない恋

おかあさんはバックミラーで私の顔を覗きがら、

後ろに乗っている私に不敵な笑みで尋ねた。



「ふ〜ん、さっきの彼氏?どうなのォ〜?」



「うん……そうだけど」



「へェ〜〜、結空にしては勿体無いぐらいカッコいい子じゃない。フフッ」


嘲笑うかのようにおかあさんは笑った。

無意識に私の眉間に皺が寄り、感情を抑えることだけに今は集中する。


「うん……だね」


私は表には出さなかったが、

おかあさんの言い方に腹がたった。



「青春も恋愛も大切かもしれないけど、結空は勉強のほう、もっと頑張りなさい!浮かれすぎていると卒業なんてできないわよッ!!」



「うん……分かってるてバッ!」


私は出来ることなら、おかあさんだけには仁くんのことだけを知られたくなかった。




なぜなら?

私は今の母親のことが嫌いだから。


思春期とか反抗期だった訳ではない。



人を小馬鹿にする態度。


自分にだけ冷たく接するところが、

物凄く嫌いだった。



私は居ても居なくてもいい子。



私なんて愛されてないんだから。





その後、

私は車の中でおかあさんと喋っていない。


険悪感が漂う車内から、

居心地の悪さ、居場所のなさが滲み出ていた。