忘れられない恋

部活が終わり、

薄暗くなった道を仁くんと一緒に帰る。


ここんとこ一緒に帰るのがルーティンとなっていた。



仁くんはバス停まで私を自転車の後ろに乗せ、自転車を走らせる。



近くから川の流れる音が聞こえ、

草花が茂っていた。



「ねーーもっとスピードだしてよ」


私は後ろから仁くんの顔を覗き、そう言った。



「え?なんでよ?」



「いいから。早く早くーー」



「たくッ……しょうがねえな」


仁くんは面倒くさそうにしながら、

力いっぱいペダルを漕いだ。


自転車は小さく横に揺れる。



「ふふ、キャャァア!」


スピードが上がると、

私は大きい悲鳴を響かせ、身を委ねる。



「はは、落ちても知らねえからな」


仁くんは驚いた私を見て面白がると、さらにスピードを上げ、髪を靡かせながら爽やかな風を楽しんでいた。



「ちょっと!もォういイィ!!!。キャャァア」


私は落ちないように、

後ろから仁くんを抱きしめる。


むしろ、こうやって密着したかったのが本音であって、背中から伝わる仁くんの温もりが愛しく思えた。



バス停が近づくにつれ、

仁くんはペダルを漕ぐスピードを徐々に緩めていく。