忘れられない恋


次の日、二階の教室。


仁はクラスメイトから視線を浴びていた。



それもそのはず。


海斗が仁の首に腕を回し、

首を絞めている。

クラスメイトはこの二人の絡みをクスクスと笑いながら見ていた。



「ふざけんなよ!このリア充野郎!!」 


彼女がいない海斗は半分妬み、

もう半分は喜びだった。


親友が喜ばない訳はないだろう。



「苦しっ……おい!離せって」


仁は何とか海斗の腕から抜け出した。



「ホント仲良いね二人、ふふ」


クラスメイトの中島 莉緒《なかしま りお》は、僕たち二人を見ながら微笑んだ。



「中島さん、聞いてよ!」


海斗は仁の肩に馴れ馴れしく腕を回しながら言った。



「うーん?どうしたの?」



「仁に彼女ができました」


海斗は嬉しそうに手をパチパチと叩き、

大きな拍手を教室内に響き渡らせる。



仁は顔を赤くしながら、海斗の拍手を止めるにかかる。


クラスメイトの視線が気になるからだ。



「恥ずかしいからやめろって」



「え!そうなの?よかったじゃん!一ノ瀬君おめでとォ」


中島さんは自分の事のように喜んでくれていた。

明るくてスタイルが良い中島さん。


クラスでは可愛いほうだった。



「で?どんな子なの?」


中島さんは気になり、仁に尋ねる。



「どんな子って……」


仁は海斗と目が合う。



「一年で同じ部活の子。また今度教えてあげるよ」


海斗は中島さんに約束をした。



「ほんと?絶対だよ!」


中島さんは海斗に向けて指差し、

少し脅す仕草を見せた。


どんな子か早く見たかったのだろう。



「う……うん」


慌てて海斗は話しを変えた。