忘れられない恋

「俺、この場所好きなんだ」



「え?」



「何も考えたくない時ってあるじゃん?」



「えっと……はい」



「嫌なことがあった日は必ずここに来てさ、この海を眺めるようにしてんだ。海ってさ、すげぇじゃん?観てるだけで元気もらえてさ、綺麗さっぱり忘れさしてくれるし、俺を励ましてくれる。……って俺、なんか俺キモイこと言ってる?はは」


仁は硬かった表情を緩め、微笑んだ。



「ふふ、いえ……私も好きです、ここ」


一ノ瀬先輩の笑顔を見て、

私も硬い表情を解く。



「え?……ホント?」



「はい。私も悩み事があったら、ここに来るんですよ」 



「そうなんだ」




「この広い海を見ると、私の悩みなんて何て小さいだって気づかしてくれるから」


私は透き通った目で、この広い日本海の景色を眺めた。



「そっか。波の音って落ち着くもんね」



「はい」



「あのさーー結空ちゃん?」


仁は身体を私の方へ向けた。



「はい?」


私は一ノ瀬先輩と目が合う。