忘れられない恋

私の携帯電話から一ノ瀬先輩専用の着信音が響き渡る。


私は電話が鳴っていることに気づき、

携帯電話を手に取った。



「もしもし」



「結空ちゃん……今日ってさ、時間ある?」


一ノ瀬先輩の声から緊張が伝わってくる。



「え……」


私は状況が読み込めずにいた。



「来て欲しい場所があるんだけど……」



「えっと……午前中なら大丈夫ですけど。どこですか?」



「なら今からプロポーズ丘公園来れる?」


仁は緊張の余り、

歩き回っていた。


落ち着いていられなかったのだろう。



「……はい。大丈夫です」



「ありがと。じゃあ気をつけて来てね」



「はい。分かりました」



「うん。じゃあ、またあとで」


仁は電話を切り、

急いで家を飛び出す。


自転車に乗り、

がむしゃらにペダルを漕いだ。



天気は快晴で太陽の陽光が眩しい。

何だか、

空も自分のことを

応援してくれているみたいだった。