『結空ちゃんの笑顔が見たいな』
『彼氏とかいるの?』
『連絡先交換せん?』
頭の中に並べられた一ノ瀬先輩からの言葉の意図をじっくり考え込む私は、
なぜ私みたいな地味な人間に連絡先を聞いてきたのか、
訳が分からないでいた。
これは脈ありとして考えていいのだろうか?
いやいや、
連絡先聞かれたぐらいで、
そう考えてしまうのはまだ早すぎなのではないだろうか?
まだ疑心暗鬼でいる私は最後まで気が抜けない。
すると、
女バスで親友の安藤 遥《あんどう はるか》がニヤつきながら私の方へとやって来る。
「ちょっと結空ァーー!もしかして、一ノ瀬先輩と交換した?」
「うん……」
残りの女バス一年たちも一ノ瀬先輩と何を話していたのか、
物凄く気になり、
自ずと私の周りへと集まり出す。
それに、
一ノ瀬先輩のファンの子たちも輪に混ざりたそうだったが、
仲良くだけはしたくないのだろう。
私たちの様子をソワソワと伺いながら、
話しが聞こえる位置までコッソリとやって来た。
「えーーいいな!一ノ瀬先輩、結空のこと絶対好きでしょ?」
「じゃないと、結空だけに聞かないもんね」
「結空って可愛いもんねー」
「ホント、羨まァー!」
私のことを羨ましがる仲間たちの目線に、
私のことを鋭く嫉妬する一ノ瀬先輩のファンの子たちの目線。
何とも複雑な心境だったけど、
「応援するよ、うちらは!!」と、
力強く私のことを応援してくれる親友たちの温かい言葉に、
なんだか涙ぐんでしまう。
「ふふ、恋してるわ、この子。で?好きなんでしょ?一ノ瀬先輩のこと」
「うん♡」
私は携帯電話を再度見開らき、
一ノ瀬先輩の番号とアドレスをまた何度も確認した。
自分のアドレス帳に、
一ノ瀬先輩の連絡先が入っている喜び。
それだけじゃない。
私のことを応援してくれる最高な仲間たちが、
一ノ瀬先輩のファンの子たちを鋭く睨み返して、
私のことを守ってくれた喜び。
私はその二つの喜びを噛み締めながら、
勢いよく仲間の許へと飛び込んだ。
みんな、ありがとう。
一ノ瀬先輩も好きだけど、
女バスの皆んなも大好きだよ♡
私は素晴らしい仲間に恵まれ、
本当に幸せ者だった。


