〔部活終わり〕
私は中学の頃、
陽キャの人達が楽しそうにしているのを眺める、
通行人Aみたいな存在だった。
友達が多く、
自然と輪の中心となる主人公みたいな存在に、
心の底では憧れを抱いていたのかもしれない。
でも、だからといって、
私がつまらない人生を歩んできたわけではなくて、
地味だけど、そこそこ楽しい日々は過ごしてきたつもり。
だけど、
主人公は通行人Aの何百倍も楽しいはずであって、
通行人Aよりも下な訳があるはずもない。
そんな通行人Aだった頃を忘れさせてしまうぐらい、
私は今、そんな陽キャ集団のチームメイトに混ざりながら、
体育館でいつものようにぺちゃくちゃぺちゃくちゃと会話を楽しんでいた。
『カバンの中にいつも飴玉忍ばしてるからオバさん説』
『〇〇先生に怒られたからイライラする〜、それな〜の愚痴り大会』
『山Pカッコいい問題』
そんな話題で爆笑や共感、大はしゃぎできる私たちの関係性は良好で、
なんて居心地が良いのだろう。
あの頃、憧れた主人公に少しだけ近づけたみたいで、
今はとても楽しくて私は仕方がなかった。
話しが盛り上がる中、
何やら気配を感じたのでパッと視界を広げると、
一ノ瀬先輩が私たち女バスの方へと、
ゆっくり向かって来るのが分かった。
何やら手招きするようにこちらを呼んでいる。
うん???……私?
私で合ってる?
私は動揺を隠せず、
二度見、いや三度見はしたはず。
これは何かの間違いではないかと、
再度入念に確認作業に取り掛かる。
私ですか?と自分に指を指すと、
首を縦に振る一ノ瀬を見て、
間違いなく私を呼んでいるんだと確信を得た。
何だろう、急に?
訳の分からない展開に私は頭がパニックになりながらも、
小走りで一ノ瀬先輩の許へと駆け寄った。
一ノ瀬先輩の友人の小田先輩や女バス一同、
そして、一ノ瀬先輩のファンの子たちまでもが、
私たち二人に熱視線を送っている。
「あのさ……結空ちゃんって彼氏とかいるの?」


