「ちょっと、待ってて」



うん?

待ってて?

ズボンのポッケに入ってんじゃないの?


私は目を点にしながら仁くんが戻ってくるのを待つことにした。



すると、何やらデカい……



クマのぬいぐるみを持って仁くんはやってくる。



「これ、欲しかったんだろ?」



いや、待てい!

誰が欲しいって言った?



いや、普通こんな大きなぬいぐるみ、高級レストランでプレゼントする?



私はポカんと口を開け、クマさんを高級レストランで抱っこしている。



ひとり、期待が外れ、肩を落とす私は小さく呟いた。



「私の……パカっ」



「え?私のバカ?」



何を聞き間違えたのか知らないけど、今の私をコケにするのは、もう控えなさい。



堪忍袋の緒《お》がきれるどころか、爆発しちゃうよ。



婚約指輪が貰えると期待していた私はがっくり肩を落とす。