忘れられない恋

「え？嘘？！」


私は驚きを隠せない。



「結空が来てないって言うもんだからさ、見栄つうかカッコつけちゃった」


仁くんは私に真実を告げる。



「え！その……ごめんね、私も嘘ついちゃって。気持ち悪がられると思ったから……つい。本当はプロポーズ丘公園でずっと仁くんのことを待ってた」



「やっぱり……ホントごめん、間に合わなくて」



「ううん、もう過ぎたことだから……そういえば彼女さんは平気なの？元カノである私なんかと二人っきりで逢っちゃって」


私は心配そうに仁くんを見つめる。



「ごめん、それも嘘なんだ！彼女なんていないよ」



「え！じゃあ、別れたの？」


私は仁くんの言葉に取り乱した。


それと同時に彼女がいないことを喜んだのか。


私はホッとしていた。



「え？まぁ……大学の頃だけど」


仁くんは私の言葉に引っかかる。



「そっか。あの日ね、逢えなかったから仁君の大学に行ったんだ」



「え！そうなの？」


仁くんは知らなかった。


私が会いにきた事を。



「うん。その時にモデルさんみたいに綺麗な人と楽しそうに歩いてるの見ちゃった！」




「え！それホント？見られてたなんて知らなかったよ。その人とはもうとっくに別れたんだ」



「そうだったんだ」　



「うん。ホント嘘ついてごめん。自分のことカッコ悪く見せないようにしてた」



本当のことを言えてスッキリしたのか。


仁くんの表情は少しだけ晴れていた。



「ううん、私の方こそごめんね。本当のこと聞けて良かった」