忘れられない恋

「そっか。でも、俺は結空ちゃんの笑ってるとこが見たいんだけどな」



「え……?」


一ノ瀬先輩の言葉に私の頭が一瞬にして思考停止となる。

顔はもちろん火照り、気もこの時ばかりは動転していた。




私の笑っているとこが見たい?

しかも、ちゃん付け?下呼び?



そんなこと見つめて言われたら、

嬉しさの余り呼吸困難で、

倒れてしまうってば。



駄目だ!

これ以上いたらキュン死してしまう。



危機管理が備わった私は小さくお辞儀をし、

その場から逃げるかのようにダッシュで走り去っていった。



すると、

同級生の女子部員がさっきのことを見過ごしてはくれやしない。



「ちょっと!!!ゆあァ!何話してたの?!」


「ちょッ、ずるいんだけど!!!」


「何か凄い、一ノ瀬先輩が笑ってたけど」



同級生からの集中砲火を浴びせられながらも、

返す言葉が見つからず、

まともに食らい続ける。



私の笑顔が見たい?

それはどういう意味なのかな?



私はひたすらドリブル練習に打ち込む。


初めて一ノ瀬先輩と喋ることができた喜びを噛み締めながら、

今日もひたすらドリブル練習を。