忘れられない恋

海斗は笑みを浮かべ、俺の背中を見守る。



結空が働いてるお店は、ここから走って五分ぐらいだろうか。


ひたすら足を止めずに、本能のまま走った。



逢ったら結空に自分がついた嘘を謝ろう。


そして、自分の気持ちを正直に伝えようと思った。


結空が働いてる携帯ショップに辿り着く。


俺は息を荒くして、大量の汗をかいていた。



「いらっしゃいま……」



店長が近づく。



「はぁはぁはぁ……結空は?結空いますか?」



俺は店長に尋ねた。


店の中は従業員しか居らず、閉店の準備をしている。


結空の同僚の美優も息切れする俺に目を遣っていた。



「結空?あーー木栖さんね?昨日で辞めちゃいましたよ」



「え!そんな……」



俺は気が動転する。



「辞めるんだったら、もう少し早く言ってくれたらよかったのに!一週間前に言うから」



店長は困り果てていた。


結空は俺と会った次の日に店長に辞める事を告げている。


同僚の美優もその日に知り、驚いていた。



「あの!家とか知りません?」


俺は店長に尋ねる。



「いやーースタッフの個人情報は教えることができないからね」



店長は首を横に振る。


俺は項垂れるようにして、膝から崩れ落ちた。



「あ!そういえば松江から出るって言ってたよ」



俺の姿を見て、仕方なく結空の情報を教えてくれる。


俺は確信した。



もう一生逢えない。


自分のついた嘘に後悔した。



俺は壁にかけてあるカレンダーに目を向ける。



今日は6月5日……