プロポーズの日〜忘れられない恋〜

しばらくすると、チャイムの音と扉を叩く音が。


栞だとすぐに分かった。



今は栞の顔を見る気分ではない。


自分が自分ではなくなりそうで嫌だった。


栞はしつこくチャイムを鳴らし、

ドアを叩く。






ドン、ドン、ドン。



「いるんでしょ?開けて!」


栞の震えた声が聞こえてきた。


今更会って何になるのだろう。


俺はそう思ったに違いない。



「仁君、お願い。開けてェえ!」



立ち上がり、俺はドアを開けた。


栞は俺があげるはずだったグシャグシャになったプレゼントを持って、泣き喚いている。



泣きたいのはこっちだよ。


俺は怒る気力もなくなった。



心に大きな穴ができたみたいで……




「ホントごめん。ホントごめんなさい」


謝ることしかできない栞を前に俺は嫌気をさしていた。









「はは、もういいよ」


俺の声には元気がなかった。

当然だろう。


自分のこの目で浮気現場を見てしまったのだから。



「え?」








「悪いけど帰ってくれない?」



「いや、ちゃんと話したいの。ごめんね」



「話し?何を話すの?」



「さっきのことォ!」



「いや、聞きたくないよ」


正直、今は何も考えたくない。


一人にして欲しかった。



「その……傷つけてごめん」



栞は涙のせいか、

ところどころ化粧が落ちていた。








「いいから。今日は帰ってよ」



「仁君?その……」









「もういいから、帰れよ」









「わ、私ね……」





















「もう帰れッつってぇンだろッッ!」




俺は怒鳴り、ドアを強く閉めた。







バンッ!!!