忘れられない恋

少人数の部員しかいないバスケ部だが、一ノ瀬先輩はチームを上手いことまとめあげる。



「おーい、一年!声出せ、声ェーー!!」



一ノ瀬先輩達が精一杯、練習に励む中、

私はひたすらドリブル練習。



朝も夜もドリブル練習。

始まりも終わりもドリブル練習。



毎日、毎日ドリブル練習……








いや、入部してからずっと、ドリブル練習しかさせてもらってないんですけど……。



まぁ、それもそうか……

私は一向にドリブルするのがおぼつかないんだ。



先輩達からボールを迎えに行くんだとか、

ボールを吸い付けるようにするんだとか、

何言ってんだ?この人たちはって感じで、

私は毎日、ボールと睨めっこ。




言うこと聞かないボールと口喧嘩しそうになるぐらい、あちらこちらに転げ回るボールを追いかけ回す日々を過ごしていた。



全く、面白くないし、

何が楽しいか分からない。


一人だけコートの片隅で、

ドリブル練習を繰り返す私は一年生の中で成長がずば抜けて遅く、

恥ずかしながら一向に上達する見込みがなかった。




これほどバスケのセンスが微塵もない私は、

もう来世に期待するしかないのか。



必死に練習する余り、笑顔は自然となくなり、表情は硬っていった。