北斗は結空のアパートに住み着いていて、どうしようもないヒモ男でクズ男と化していた。
そんな北斗が寝癖をつけたまま、何も知らず出てくる。
「はい……」
寝起きなのだろうか、少し不機嫌そうにしていた。
瞬太はそんなことお構いなしに玄関に入り込むと、ドアを閉め、北斗に詰め寄る。
「ちょ……な、なんなんすか!?」
瞬太の鋭い眼光に北斗は怯えきっていた。
「おいッ!お前、何発殴ったァ?」
瞬太は北斗の胸ぐらを掴み、尋ねた。
「え……はい?」
何のことかさっぱり分かってないのだろう。
北斗の頭の中はクエッションマークになっている。
「だから、何発殴ったか聞いてんだろ!なァア?」
徐々に口調を荒らげ、瞬太は熱くなる。
もうこうなった以上、誰にも瞬太を止められない。
「何のことすか?警察呼びますよ?」
「はァ?お前の女、何発殴ったか聞いてんだろッ、ゴラァッッ!」
隣の部屋まで聞こえるぐらい声を荒げると、北斗を睨み殺す。
部屋は散らかり、壁に数箇所、穴が開いてあった。
痛々しい痕跡の跡があちらこちらにあり、日頃、結空に暴力をふるっていることが目に見て取れる。
絶対に許せない!
「え!あの、その……」
北斗は瞬太からの恐怖を感じ、腰を抜かしていた。
「オイッ!早く答えろやァ!何発だァ?」
「えっと……一回です」
北斗は苦し紛れの嘘をつく。
結空の顔や身体を殴る、蹴るの暴力を散々したくせに……
自分を守るために少なく言ったのだ。
当然、そんな嘘、瞬太には通用しない。
本当にどうしようもないク……
これ以上言うのは、やめておこう。
ホント言うのがバカバカしくなる。
瞬太はどうしても許せず、カッとなり、北斗を壁に強く押しつけた。
「嘘つけ、ゴラァアッ!!!もう一回聞くぞォ!何発殴ったァ?」
「苦しッ……その……ごめんなさい。わかりません」
「あァア?そうか、分からないぐらい殴ったんだなァ?」
瞬太は呆れ果てる。
それと同時に、感情を抑えることができなくなった。
「いや、違うんです!これは、何かの誤解で……」
ゴンッッッ!


