忘れられない恋

「きゃーー♡♡」



興奮する同級生達の声が体育館中に響き渡り、

ここはアイドルのコンサート会場かと思わせるぐらい一ノ瀬先輩のファンが熱狂している。



端に追い出された私だって、少ないチャンスをモノにしようと必死に喰らいつくように、一ノ瀬先輩へ手を振ってみせる。



私という存在を知ってほしい。

暗闇から小さな石ころを見つけるぐらい、影の薄い私は見つかるのが困難なことだろう。


でも、ごく僅かな可能性にかけて、私は力強く一ノ瀬先輩へ私の存在を示すように手を振り続けた。


ビクッ!!

数秒間、ゆったりとした流れへと変わり、視界がぼんやりとボヤける。



私は見逃さなかった。








たった数秒だけど、

一ノ瀬先輩と目が合ったことを。



これが彼と私の最初の出会いだった♡