忘れられない恋

「きゃーー♡♡」



興奮する同級生達の声が体育館中に響き渡り、

ここはアイドルのコンサート会場かと思わせるぐらい、

一ノ瀬先輩のファンになった一年女子たちで賑やかだった。



端に追い出された私だって、

少ないチャンスをモノにしようと必死に、

一ノ瀬先輩へ手を振ってみせるも早々と撃沈。


周りの女子たちに私はすっかりと掻き消され、

私という存在を知ってもらうには、

今は少しばかり時間がかかりそう。


自分の存在を一ノ瀬先輩に知ってもらうことって、

こんなにも難しいことなんだね。



今は暗闇から小さな石ころを見つけるぐらい、

影の薄い私を見つけることは困難なことだった。


だけど、

私はどうやら諦めの悪い女みたい。


ごく僅かな可能性にかけながら、

力強く一ノ瀬先輩に向かって、

私の存在を知ってもらえるように手を振り続けた。



「きゃーー♡♡」



一ノ瀬先輩がまた私たちに向け、

手を振ってくれるものだから、

体育館がより一層また盛り上がる。



飛び跳ねて大喜びする者もいる中、

私だけがゆっくりと時が流れているような感覚で、

視界がぼんやりとはっきりしない。


それどころか、

私は居ても立っても居られなかったのだ。





だって、

たった数秒だけど、

一ノ瀬先輩と目が合ったんだもの。



今でもはっきりと覚えてる。


これが私と彼の最初の出会いだったってことを♡