忘れられない恋











高校時代の親友である遥が結婚するのだ。



遥は卒業後、地方の大学に通っていたが、当時付き合っていた彼との間に子どもを授かり、遥は大学を中退し彼と籍を入れるらしい。



そんな幸せ真っ只中の遥と私は、松江市内のカフェで久しぶりに再開し、ランチを楽しんでいた。



「それで、式はあげないことにしたんだよね」



遥は残念そうに私に告げた。



「えーー!そうなの?遥のウエディング姿見たかったのになァ」



「私も一度でいいからウエディングドレス着たかったんだけどさ、やっぱりお互い学生だし、資金面に苦労するから諦めたの!」



「そっか……これからお金かかるもんね」



遥の晴れ姿を見たかったのは言うまでもないが、これから母親となって、家族のため奮闘する大変さを考えると仕方がないことだった。



「うん。だから、結空が結婚する時、私のぶんもウエディングドレス着てよ!私、楽しみにしてるからさ」



「え!私が?でも、私なんかが結婚できるかなぁ?相手もいないわけだし」



彼氏のいない私にウエディングドレスを着ている未来が想像できない。



「何言ってんのよ!まだ二十歳ようちら。これからじゃん!!」



「かな?でも私、幸せとは無縁だからなーー。幸せを分けて欲しいぐらいだよ」



私は物寂しいそうに言った。



そもそも幸せって何?


いつしか、私は幸せになんてなれないとか、私は可哀想な子なんだと悲劇のヒロイン症候群と思わせるようなネガティブ思考へと走っていた。



その上、幸せだと感じた時に出るホルモンの分泌具合でも悪いのだろうか、幸せの定義さえ知らない私は何が幸せなのか気づくことができない。



私は答えの見つからない宝探しをしているみたいだった。



「なに高校の時と立場入れ変わってんのよ!結空なら大丈夫!きっと良い人が見つかるって」



「かな?見つかるといんだけど……」



「見つかるって!見つかんなかったら、私が日本の反対まで探してきてあげるから!」



「ふふ、ちょっと!私、日本人がいんですけど、ふふ」



二人は何処かでしたことのあるような懐かしい会話を楽しみながら、時間の許すまで話しに花を咲かせた。