甘くて優しい青春恋物語 ~初恋ジューンブライドの誓いは甘酸っぱい~

 だけどその時、彼女の後ろから一人の男子生徒が顔を見せた。

 あー……この人って確か、オカルト同好会の会長……だったっけ。

 名前は高野。クラスは違うけど、いつもミステリアスな雰囲気を漂わせている事だけは知っている。

 腹の底が見えない男でもある。

 ……でも今は分かりやすいくらい、不機嫌そうな表情を浮かべていた。

「人の彼女をじろじろ気色悪い目で見ないでくれる?」

「私女子なのに……高野って案外心狭いんだね。」

「仕方ないでしょ。彼女を誰にも見せたくないって思うのは、男の性なんだから。」

「それならちゃんと彼女ちゃんを守ってあげなよ。」

 腹黒男ってこういう奴の事を言うんだろうなぁ……と、小さく零す。

 こういう男、嫌いだなぁ。

 いかにも面倒そうだし、束縛激しそう。彼女ちゃん可哀そうに、こんな男に捕まって。

「お、お二人とも喧嘩はやめましょう? あの……ぶつかっちゃって本当にごめんなさいっ! お怪我はありませんか?」

「……う、うん。全然大丈夫!」

「なら良かったです! ……それでは失礼しますっ。風真君、いつまでも怖い顔してないで行くよっ。」