私がここまでする義理は、言ってしまえばない。

 でも、なんていうか……静流はほっとけばマジで死にそうだったから、お節介として私が面倒を見ている。

 ふわぁ……と小さなあくびを一つした静流は、ゆったりとした動作でお弁当を開く。

 その後に手を合わせてから、箸をもってお弁当を食べ始めた。

「……香、何でこんな料理上手いの?」

「好きだから、としか言いようがないから。元々家事は得意だったし。」

 静流からの率直な疑問に、私もベンチに座って答える。

 私の家は、両親共働きで家にはほとんど私しかいない。

 幼い頃からその習慣だったから、一人でにある程度の家事は習得した。

 それは今でも続いているから、どうせなら磨きをかけてやろうと自棄になっている部分もあるかもしれない。

「そっか……香は将来良いお嫁さんになりそうだね。」

「私、誰かの嫁にはならないって決めてるから。そうなる事は絶対ない。」

「何で?」

「だって嫁になると、いろいろ面倒そうじゃん。面倒事は嫌いなの、私。」