いくら男子が嫌いだからと言って、私は今にも死にそうな人を見捨てるほど根腐れはいない。

 だからついつい、構ってしまったんだ。

『とりあえずこのパンあげる。だからそんなところで寝ちゃわないでね、風邪引くよ。』

 今思えば、やっぱりやめておけば良かったかもしれない。

 ……そう思う理由は、きっと今に分かる。

「ん……あ、(かおり)来てたの……?」

「うん、ちょっと前に。それと……これ、今日の分。」

「ほんと毎日さんきゅ。香居なきゃ俺死んでる……。」

 それは言い過ぎだ、確実に。

 だけど静流は目をキラキラと子供のように輝かせていて、一概には言いすぎだと言えなくなりそうだった。

 まぁ……感謝されるのは慣れていないから無視するけど。

 「はいっ。」と言いながら、静流の分のお弁当箱を渡す。

 私はこのように、毎日静流の分のお弁当も作ってきている。

 その理由は、静流の生活。

 静流は一人暮らしをしているらしいけど、そのせいか栄養が取れていない。

 昼食もまともに食べていなかったから、私が見かねてお弁当を作ってきている。