……だから、嘘ではない。

 何となく、薄々だけど自覚はしていた。

 最近やたらと静流を意識する事があったし、かっこいいなと思う事が格段に増えた。

 告白は……正直、する予定はなかった。

 けどやるとしても、ちゃんとした状態で言いたかった……!

 恋に幻想を抱いているわけではないけど、そんな公開が私を苛む。

 ……明日から私、どんな顔して静流に会えばいいの。

 それが今の、一番の懸念点。

 普通に接する事なんて、きっとできない。平静を保てるかどうか、なのに。

 帰ってきてからもう何度してしまったか分からないため息を大きく吐き、どうしようもなく思考を回す。

 その時、部屋のドアが軽くノックされた。

「香ちゃーん……? 体調、大丈夫……?」

 扉越しに聞こえてきたのは、心配そうな声色を含んだはづきんの声。

 あぁそっか、もう夕方なんだ……。

 一瞬そう腑に落ちかけるも、今度は別の疑問が浮かんだ。

 あれ? 何で家にはづきんが……?

 私とはづきんは、通っている学校は違う。もちろん、私が早退した事も知らないはずだ。