甘くて優しい青春恋物語 ~初恋ジューンブライドの誓いは甘酸っぱい~

 ……その様子にまた、愛おしいという感情が込み上げてくる。

 何でこんな……香は可愛いんだろう。

「香は、俺のことをどう思っている?」

「……静流の、こと?」

「あぁ。」

 口から突いて出た言葉は、きっと卑怯だ。

 香の意識が定まっていない今聞くなんて……良くない事。

 それは、分かっているつもりだ。

 ……でも少しだけ、聞いてみたかった。

 言うなれば興味本位。香が俺を、どんな風に思ってくれているんだろうか。

「私、は……」

 口ごもるように、そこで言葉を切った香。

 俺は催促するつもりはない。香の気持ちが聞けるのなら、いつまでだって待つ。

 だけど香は、俺が思っていたよりも早く……言葉にしてくれた。

「静流の、ことは……――」



 香と出会ったのは、結構前だった。

 俺は昔から、何を行動するのにも億劫で必要最低限は行動しない奴。

 そんな俺だから、家族には物凄く心配をかけてしまっている。

 姉貴は『そんなんじゃいつか野垂れ死ぬよ。』と、口癖のように言ってくるし。