甘くて優しい青春恋物語 ~初恋ジューンブライドの誓いは甘酸っぱい~

 そう思うと、一旦は抑えられた怒りが再発する。

 ……それを止められなかった、俺も馬鹿だ。

 どうして俺は、好きな女のピンチも助けてやれない?

 どうして俺は、そこまで臆病なんだ?

 ……理由なんて、分かりきってるのに。

「香……ごめん。」

「何で、静流が謝るの……? こうなったのは、私のせいだから……謝んないで。」

「だけど俺は、香を守れなかった。そんなんで、好きとか言える資格……俺にはない。」

 情けなく、そしてあっけなく零れた言葉。

 それが香の何を刺激したのかは分からないが、ふふっと声が聞こえた。

「……あはは、馬鹿だなぁ静流。私のせいだってのに、謝るなんて。」

「か、おり……」

「私は静流に助けられたんだよ。だから静流が謝るのは変。……自信持ちなよ、私が認めるんだから静流は相当凄いんだよ?」

 からっと笑っている香は、いつものテンションに戻りつつある。

 でもここまで素直に褒めてくれるのは……香が冷静さを取り戻していないからだろうか。

 まだ頭がまとまっていないのかは知らないが、今の香は凄く素直だ。