甘くて優しい青春恋物語 ~初恋ジューンブライドの誓いは甘酸っぱい~

 ははっと軽く笑い、元来た道を戻ってくれたそいつ。

 そいつはとは一応仲のよく、名前で呼び合うくらいには。

 ……だけど、そんな事はどうでもいい。

 望遙にとりあえず任せたから、授業のほうは大丈夫だ。

 俺にとっては香のほうが……断然大事。

 一時間ぐらい出なくても、そこまで遅れはしないはずだ。

 なんて小さく考えながら、保健室の扉を開ける。

「おい、姉貴。」

「ったく何よー、こんな授業中に……って、あんた何で香ちゃん抱きかかえてんの!?」

「話は後。とりあえず香休ませたいから、ベッド貸して。」

 そう言うも、俺は意見も聞かずそのままベッドに香を降ろす。

 すると少しは気分が良くなったのか、さっきよりも落ち着いた表情へと変わった。

 それと同時に、背後から声が飛んでくる。

「香ちゃん……一体何があったのよ。頬も腫れてるし、こんな苦しそうにして……」

 そこまで言った時、突然保健室に置いてある電話が鳴り響いた。

 姉貴は少し面倒そうにしながらも、その電話をとる。