だってここまで教頭先生がしてくれてるんだから、応えてあげなきゃダメだよね……と。

 そういう経緯でありがたく、私は鍵を拝借しているのだ。

 だけどもう一人だけ、屋上に出入りできる人物が居る。

 その人が今、のんびりと屋上のベンチで寝ている男子。

 名前は西条静流(さいじょうしずる)。私と一応同い年。

 クラスは違うけど、私と静流は仲がある程度は良い。

 まぁそれも、ただの知り合い程度だけど。

 静流と知り合ったのは、ひょんな出来事から。

 去年……高校二年生の冬のある日、帰宅しようとしたら静流が倒れていたのだ。

 最初こそ、スルーしようとした。だって男だったし。

 ……でも何となく、ほっとけない気がした。

 親切心とかいう、綺麗なものじゃない。ただの興味。

 声をかけてみると、倒れている理由は三日間何も食べていないから……という、何とも馬鹿らしい理由で。

 正直ここで見捨てても、私的には良かった。面倒事は御免だし。

 けど見捨てれば……なんだか、後になって罪悪感が出てきそうだったから。