「だ、だったら私のことなんて――」

「折羽さんが居なければいいの! 前からそれは思ってたし、それにわたし見ちゃったんだよ。屋上で西条君が折羽さんのこと押し倒してるの。」

 その一言に、取り巻きの女子たちがざわつく。

 もちろん、私も。

 立川さんに突き飛ばされて、少し回りにくくなった頭でまとめる。

「屋上って立ち入り禁止じゃ……不正に入ったって事……?」

「うわ、それマジで終わってるわ。」

「だから、それも含めて折羽さんには制裁をあげたかったの。それと、今後の為にも。」

 立川さんは壁にもたれかかる私に、見下ろすような視線を配る。

 そして一回、私の頬を強く叩いてこう口にした。

「折羽さんが居なきゃ、わたしは西条君と居られるの。だからもう、金輪際西条君に関わらないでくれない?」

 ……私は結構、頭が回らなくなっていた。

「いや……。」

「……どうして?」

「だって、私は……っ……」

 自分でも何を言おうとしているか、分からなかった瞬間。

 私は、誰かに抱きしめられていた。