甘くて優しい青春恋物語 ~初恋ジューンブライドの誓いは甘酸っぱい~

「……別に、ただの友達。」

 それ以上でも、それ以下でもない。

 静流からは告白されたけど、私にその気はないし生まれない。

 だからこれは、私に聞かれても困る。

「そ、それじゃあどうしてっ、西条君は折羽さんの名前を出したのっ?」

「え?」

「西条君に告白した時に、言われたの……。『俺には香が居るから無理。』だって。」

 ……あいつ、何勝手な事言って。

 その言い方じゃ誤解される。私と静流が付き合ってる、って。

 私はそういう気はないって、言ったはずなのに。

「……それは、知らない。私も、分からない。」

 でも口から出たのは、そんな曖昧な言葉。

 きっぱり違うって、否定すればいいのに。

 ……それだけで、良いはずなのに。

 ――完全には、否定したくなかった。

 だから、曖昧な言葉で濁した。理由なんて、分かるはずがない。

「わ、わたしはっ……小学生の時からずっと、西条君のことが好きだったの……! わたしのほうが、西条君のことを知ってるし気持ちの大きさでは負けない。それなのに、何で西条君は折羽さんのこと……っ。」