甘くて優しい青春恋物語 ~初恋ジューンブライドの誓いは甘酸っぱい~

 ……それでも私は関係ない。

 静流と私は、ただの友達……なはずなのに。

「折羽さん、ちょっといい?」

「……私?」

 次の授業が移動教室の為、教材を持って廊下を歩いている時。

 急に角から現れた女子数人に、声をかけられた。

 その中に立川さんの姿もあったから、何となく予想はついた。

 だけどここで時間を食うわけにはいかない。もうすぐ授業が始まるし。

 彼女たちが授業に遅れるとかを気にしているわけでは、絶対ない。ただの保身だ。

 ……私は、意地汚い人間だから。

「次移動教室だから、失礼します。」

「っ、ちょっと待ちなさい!」

「え、そう言われても……って、わっ……!」

 一回会釈し、急いでその場から離れようとした。

 けれど強引に腕を引かれてしまい、成り行きで人のいないところまで連れていかれる。

 雑に離された手はジンジンと赤く染まって、女子が出すような力じゃない……と思った。

 そう呑気にしてられるのも、その瞬間だけだったけど。

「前々から思ってたんだけど、折羽さんって西条君とどういう関係なの?」